こんにちは、アレコレ発信局のぜんちゃんです。
これまでも僕の留学生活に最も多く登場する中国人ですが、今回は彼らと話していて感じた転職や留学に関する考え方について書きたいと思います。
僕の周りにいる中国出身の留学生は、僕が知り合っているだけでも20代~40代までと年齢層はバラバラです。
学校には50代や60代の方もいるでしょう。
ただ、ニュージーランドで大学院に入ろうとしている留学生の過半数は20代の留学生です。
彼らは、中国で大学の学士過程を終えて来たか、1年~3年ほど仕事をしてきた人々です。
彼らと雑談をする中で仕事について話を聞くと自分が持っていた「常識」と大きく異なることに驚かされます。
勤続年数や年齢を気にしない、中国人の転職に対する思考
彼らは職を得るに当たっては、日本人ほど年齢や勤続年数を気にしない傾向にあると感じます。
まず、現在の中国についてイメージできることは、世界第二位の経済大国であるということでしょう。
しかしそんな中国ですが、一般的な新卒の給料は日本の新卒の半分ほどしかないらしいのです。
友人たちは「給料が高いところがあったり、条件が良いところがあれば、すぐに転職するよ~」と言っています。
僕は「日本では石の上にも3年という言葉があるけど、中国では短期間での転職とか勤続年数が短くなることに引け目は感じないの?」と聞きました。
彼らの答えは「面接のときに聞かれると思うけど、給料が低いとか待遇が良くないっていう正当な理由があるんだから問題ないよ。」でした。
言われてみれば、それってたしかに正当な転職理由なんですよね。
どこからか「そんなことしていては忍耐力がない」とか、「継続する力が欠けてる」と言われてしまいそうですが、僕の周囲にいる若年の中国人にはその考えはあまりないそうです。
むしろ、「忍耐力」とか「継続力」というものが評価対象になっていないのかもしれません。
その背景には、日本とは異なる中国が歩んできた発展の背景があるように思います。
中国の経済・技術変化は激しい
ご存知の通り、中国は急速な経済成長を遂げてきました。
日本のGDPはここ十数年基本的に横ばいだった一方、中国は経済成長が落ち込んできたと言われる現在でもGDP成長率が驚異の6%を超えています。
その経済発展に、更にテクノロジーの変化が加わり、中国で生活する人々は自分達でも驚くほどの変化を目にしてきました。
「1年間留学などで国を離れて、久々に故郷に帰った時には、社会が変わりすぎていてここはどこだ?って感覚に陥るんだよ」
と言っているくらいです。
つまり、彼らが実体験から常識として持っていることは「世の中は常に急速に変わっていく」ということなのです。
諸行無常であることを前提に、変化に合わせて彼らは動く。
だから、リスクに非常に敏感だし、安定した場所でじっとしているよりも、常に情報を仕入れてアクティブに動く傾向が強いんだと感じます。
もちろん全ての人に対して共通しているわけではないですが、この考え方がベースとして多くの人に共通しているとすると、人を採用する側の企業も同様の思考の人が多いわけです。
だからこそ、雇用主側も被雇用者側も、勤続年数・年齢・継続力・忍耐力がどうだとか気にしないというのも納得ができる話です。
激しい競争に備える、中国人の留学に対する思考
次に、留学についてです。
僕が在籍していた英語のクラスは、僕以外、全員中国出身でした。
他のクラスでは、全員が中国出身という事も普通にあるくらいです。
なぜここまで中国人留学生はこんなにも多いのでしょうか。
もちろん、13億人を超える人口がいるんだから多いのは当たり前です。
しかし、日本の人口1億3000万を加味しても、学校に在籍する学生比は中国人13:日本人1ではありません。
中国出身の学生比率は圧倒的にそれを大きく超えていると思われます。
では、なぜ多くの中国人は留学に行くのか、その理由は日本ではよく言われる「中国は激しい競争社会である」という理由に尽きると思っています。
それに備えるor回避するために国を出てきている人がほとんどです。
学歴を手に入れる
彼らが留学に行く理由のひとつ目は、学歴を手に入れるためです。
これは、激しい競争で生き残るための差別化行動。
国内では、大学受験に備えて学生時代は鬼のように勉強漬けの生活を送っていたという彼ら。
日本のように学問と部活の両立が美徳とはされてないようで、学生はとにかく寝ても覚めても勉強していなさいという指導が学校側からも親からもされるとのこと。
だから、多様性に対する理解を身に付けるとか、国際感覚を得るという理由よりも純粋に高い学歴を求めに来ているように感じます。
中には、可能ならば中国の大学院に行きたかったが競争が激しくて入学できる見込みがないので海外に来たという人もいます。
また、大学院進学も非常に一般的のようです。
文系学部出身のある中国人の友人は、同学部生の半分は大学院に行ったと言っていました。
文系の学部卒では、競争に勝てなくなっているということです。
https://www.excite.co.jp/news/article/Searchina_20191105013/
僕が日本で大学生だった時も、交換留学で日本の学部に来た後、日本の難関大学院に入学する人が多かったように感じます。
日本の大学院に入ってみたら研究室の半数以上が中国出身だったという話も聞いたことがあります。
親の強烈な後押し
続いて、彼らが留学できる理由ですが、親の強力な後押しがあるからです。
親からの金銭的支援
留学はかなりお金がかかります。
仕事の経験なくしてどうして彼らが留学できるのか。
学部時代に必死にアルバイトしたのかもしれません、奨学金を得たのかもしれません、でも多くの場合、親の財務支援を受けています。
僕の周りの学生もみんなそうです。全て親が支援しています。
「社会に出たら留学にかかった費用を親に返していくの?」と聞くと、
「ううん、全部親が出してくれるから返さないよ」とのこと。
一人っ子政策により兄弟姉妹がいない彼らは親からも親戚からも全力の教育投資を受けます。
また、日本のように20歳を超えたとか大学を卒業したということを基準に、親と子供が対等の大人同士の関係になるわけではないようです。
昨日、中国人の友人達と旧正月を共に過ごしていましたが、親から「紅包」というお年玉がwe chat payやalipayで送られてきているのがそれを物語っています。
サンプル数は非常に少ないですが、彼らは親の収入がいくらで、家庭に貯金がいくらあるのか全て知っているらしいです。
家庭内で、そういう話をオープンに会話するとのこと。
そのため自分が留学に行けるかどうかも判断できる。
ただ、「親は工場労働者で金銭的余力はないけど、生活をかなり切り詰めて支援してくれている」という友人もいます。
なので、中国人留学生の家庭がみんながみんな富裕層なわけでもないという事も理解しました。
ただ、中国の親御さんはそこまでしてでも子供の教育支援をするということですね。
なお、「結婚したら親が家をプレゼントしてくれるよ」という話も普通の顔でされました。
親からの精神的後押し
財務支援の他に、そもそも親が積極的に留学を勧めてくるケースも多いようです。
僕が日本で知り合った学生の中に、「自分は留学とかしたくなかったけど、親が行けというから仕方なく留学に来た」という人もいました。
僕の個人的な意見では、中華系の友人と家族の間の絆は、傍から見ていて感動するものがあります。
旧正月に親御さんと親戚と電話している姿を見たのですが、愛情表現がすごい。
全く距離がなく、何もかもオープンであるのが分かります。
進学、留学、結婚など含め、親の意見を第一に優先するという話もよく聞きます。
他国にいる華人移民の存在
最後に、彼らが外に出ていくことにハードルを感じにくい理由があります。
それは、各国にいる華人移民の存在です。
世界各国に中華系移民が存在し、中国の方々は「自分達と同じ民族のはずの彼らはなぜ中国国外にいるんだ?」と疑問に持ちます。
ちなみに、「ニュージーランドに親戚が移住したからこっちに留学に来たよ!」とか「とりあえず親戚の家の部屋に住まわせてもらってるよ!」という話は頻繁に耳にする話です。
家族だけでなく親戚も含めて絆が深く、互いに呼び寄せあう関係にあるようです。
留学先に親戚がいる場合と、全く知り合いがいない場合では、留学未経験の人にとって初めの一歩を踏み出すハードルが格段に変わります。
こうしてハードルが下がることで、留学に飛び立つのです。
そしてそこから更に連鎖が生まれます。
例えば、「中国人の友人がニュージーランドに留学していてその話を聞いて自分も来たよ!今は同じ家に住まわせてもらってる」という話も聞きます。
家族・親戚だけでなく、友人との間の距離が近いため、互いに協力し合う文化を見て取れます。
ちなみに、僕も中国の友人から「ぜんちゃん、学校が始まる前に家族を連れて中国からニュージーランドに帰国するから空港まで迎えに来てくれる?」みたいな依頼を受けてます。
正直、僕は日本人の友人にこの依頼はできません。(僕の性格なのか、日本人特性なのか分かりませんが。笑)
少なくとも「周りに迷惑をかけないように!」という教育の下で育っていては、こういう行動はとりにくいはずです。
つまり、彼らにとってこうしたお願い事というのは友人にとって迷惑になることではなく、友人だからこそお願いできる絆を深め合う行動なのだと感じます。
最後に
こんな感じで、中国の若者にとっての転職・留学への考え方は日本人とは少し異なっているように感じます。
留学先で彼を友人にすると、すごく親しく付き合う事ができ、旧正月のパーティーなんかにも呼んでもらえます。
「あれ中国留学中だっけ?」と思うほど、中国色の強い留学生活をしているぜんちゃんでした。