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【通信各社の経済圏構築状況まとめ】楽天参入後の大手MNO通信3社の競争のゆくえは?

コラム

2019年下半期は通信業界に大変革が起こると思われる。

ソフトバンクの通信事業分社化、通信料金と端末の分離要請、政府の4割通信料引き下げ圧力、キャッシュレス戦争、中国機器の使用制限など、通信界隈は話題に事欠かない状況となっている。

その中でも、最も注目度が高いのは、10月に楽天がMNO通信事業を開始することだろう。

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楽天のMNO参入

2017年、楽天はMNO通信事業への参入を表明した。

しかし、有識者は、畑違いのIT企業が通信事業に参入することについて、楽天が本当に通信インフラを築くことができるのかという懐疑的な意見を示していた。

懸念の大きな理由は、現状大手MNO通信3社は、設備投資・メンテナンスに莫大なコストをかけているからだ。

売上高が大手MNO通信3社の3分の1にも満たない楽天に、その費用負担は不可能と思われた。

だが、結果的に楽天は総務省から正式に4G/5G電波を割り当てられた。

実現のための主な秘策は、クラウドベースのオペレーションにすることで大幅なコストカットを図るというものだった。

また、インドの新進気鋭の通信会社リライアンス・ジオを率いたタレック・アミン氏をCTOに迎え入れ、更にテック・マヒンドラやノキアと協力関係を築き、自社で不足するナレッジやテックを補完する体制に仕上げている。

つまり、楽天は、新たな技術と体制を整えてMNO事業に挑むということだ。

これらの手の内が公開した上で、三木谷社長は楽天の通信事業は「携帯電話の民主化活動」と豪語する。

楽天の脅威に対し、大手MNO3社は経済圏作りに奔走中

現在、大手MNO通信3社は、経済圏作りに躍起になっている。

理由は、これまで盤石な収益基盤だった通信事業が、上述した理由により価格競争にさらされ、減収が避けられないと踏んでいるからだ。

ゆえに、彼らは決算でしきりに、非通信事業への注力を語っている。

通信で得た顧客を留め続けるため、また、通信事業の減収を補うため、あらゆる消費者向けサービスを揃えた経済圏を作ろうとしているのだ。

ドコモのbeyond宣言では、スマートライフ領域でも成長が宣言されている。

KDDIは、通信とライフデザインの融合に注力宣言。

ソフトバンクは、Yahoo!を子会社化し、非通信の強化へ。

大手MNO通信3社、非通信事業の売上構成比

では、大手MNO通信3社の非通信事業はどれほどの規模になっているのか見てみよう。

2018年度
NTTドコモ KDDI ソフトバンク株式会社 (参考)楽天
売上(億円) 構成比 売上(億円) 構成比 売上(億円) 構成比 売上(億円) 構成比
通信事業 38,944 81% 45,203 89% 31,560 85% 1,198 11%
非通信事業 8,906 19% 7,370 15% 5,622 15% 9,816 89%
合計 47,850 100% 50,803 100% 37,182 100% 11,014 100%

なお、各企業の非通信事業は、以下のように算出。

  • ドコモは、「スマートライフ領域」の営業収益
  • KDDIは、ライフデザインセグメントのグループ外売上+パーソナルセグメントの「その他」の売上
  • ソフトバンクは、法人事業の「ソリューション等」、流通事業の売上の合算

楽天通信事業は、MVNO事業の売上高を掲載。

どの事業を非通信と位置付けるかによって多少の変動はあると思うが、概ね各社の非通信事業の売上構成比は、全体の売上に対して2割程度である。

金額ベースでみると5000億円以上の規模に到達しており、大きく成長してきたと言えるだろう。

それでも、大手MNO通信3社は楽天の参入を恐れてやまない。

大手MNO通信3社が楽天参入を恐れる理由

圧倒的な会員基盤・サービス数による、低コストでの顧客獲得機会の保有

楽天は、国内に1億以上の楽天IDを保有している。また、楽天市場を始めとした生活に密着する複数のオンラインサービスを展開中だ。

大手MNO3社が顧客を「通信」という1サービスから、「非通信」へ送り込もうとしているのに対し、楽天は数十ある「非通信(オンラインサービス)」から、「通信」へ送り込もうとしている。

顧客へのアプローチ方法が異なる上、顧客獲得機会である顧客との接点数で言えば、楽天は圧倒的なのだ。

当然自社のオンラインサービス内に広告を出すのだから顧客獲得コストも安い。

通信で儲けなくてもいい

第二の理由は、通信で儲けなくても良いということだ。

既存3社にとって衝撃的なことであるが、楽天は通信事業のコスト分さえ利用料で回収できれば、通信事業で利益が出なくてもいい事業構造だ。

つまり、通信事業で獲得した顧客が、楽天のオンラインサービスをたくさん利用してくれれば、これまでの本業がより加速する。それで利益がでれば問題ないのだ。

これまでEC、トラベル、カード、銀行、証券、生保、損保などの複数サービス揃え、楽天経済圏を築き上げてきた理由もそこにある。

楽天は、既に複数の自社サービスを横断的に使ってくれている利用者を優遇するポイントプログラムを提供し、囲い込むことに成功している。

(ECにおいて楽天市場とAmazonとの比較が話題になるが、このポイントプログラムを活用している人ならば楽天の方が安いことも多い。)

各社の経済圏構築状況

大手MNO通信3社と楽天の経済圏を洗い出してみた。

眺めてみると、各社幅広くサービスを揃えていることが分かる。

 

 

ポイントプログラム

dポイント、Tポイント、楽天ポイント、au WALLETポイントと4社で揃っているが、Tポイントは最近その圧倒的な牙城が崩され始めてきている。また、au WALLETポイントは、少し勢いに欠けている印象。

固定回線

楽天を除く3社で提供されている。携帯の契約と抱き合わせで、料金割引を提供しているし、固定回線としてサービス名の知名度は3社共に高い。

金融分野

金融は、現在各社が最も競っている領域だ。

銀行

銀行業自社で提供しているのはソフトバンクと楽天のみで、KDDIはUFJと提携して提供している。ドコモはセブン銀行とやっているが、かなり小規模だ。

証券

ドコモは実質未提供に等しく、KDDIは先日カブドットコム証券を傘下に収めて空いていた穴を埋めた。ソフトバンクはSBI証券を切り離してしまっている。楽天はネット証券ではSBI証券に次ぐ業界2位である。

生保・損保

自社で提供できているのは、楽天のみだ。残りの3社は、既存の生損保のサービスに自社の冠を付けさせてもらっている。

クレカ

4社共に発行しているが、業界1位の楽天が頭一つ抜けている印象。

バーコード決済

通信会社だけでなく、異業種も含めて最も競い合っている領域だが、d払い、au pay、paypay、楽天ペイと4社出揃っている。

オンラインサービス分野

この分野に関しては一つひとつ書き下ろす必要がないだろう。

ドコモとKDDIが優勢を保っているのは動画配信、電子書籍くらいであり、その他のサービスはYahoo!を傘下にもつソフトバンクとオンラインサービスを本業とする楽天が優勢に立っている印象。

スポンサー分野

ある意味、多数の消費者と接点を持てるのがスポーツチームのスポンサーになることだ。

スポーツドコモはサッカーチーム、ソフトバンクは野球チーム、楽天はサッカー・野球・バスケチームのスポンサーをしている。

チーム名に企業名を掲げられているのは、ソフトバンクと楽天だけだ。

まとめ

2019年下半期は、通信業界大競争時代の幕開けだ。

既存3社はどれだけ非通信を伸ばせるか、楽天はどれだけ顧客を奪えるか。

消費者としては、競争が増すほどに価格もサービスの品質も上がっていくから楽しみでならない。

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